Japanische Klassiker mit Furigana
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そうせきしとわたし
回想 子規・漱石
高浜 虚子
Lesen Sie 回想 子規・漱石 (そうせきしとわたし) von 高浜 虚子 (たかはまきょし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.187 Zeichen · 231 Bildschirme
もう道灌山でお互に絶縁を宣言した間柄の余に対して居士はなおその事は忘れたように何かにつけて苦言を惜まなかった。余を唯一の後継者とする考はその時以来全く消滅したのであるが、しかし門下生の一人として出来るだけこれを引立てようとする考は以前と少しも変るところはなかった。
余はいつもその事を思い出す度に人の師となり親分となる上に是非欠くことの出来ぬ一要素は弟子なり子分なりに対する執着であることを考えずにはいられぬのである。たとえばそれは母が子を愛するようなものである。余の知っているある一人の寡婦はただ一人の男の子の放蕩を苦にしながらもどうしてもそれを棄て去ることが出来ぬ。その親戚の多くはその子と絶縁してしまうことをその寡婦なりその一家なりの利益だとして時々忠告を試みるのであるけれども、寡婦は陰になり日南になりしてその子を暖き懐に抱きよせようとしておる。その結果その子は夙くに堕落し切ってしまうはずのものがまだともかくそこまでの深淵に陥らずに踏み止まっておる。これは母の愛である。母の子に対する執着である。もしこの執着がなかったらその子は牢に入っておるかのたれ死をしておるか、いずれそういう結果になっているのはいうまでもないことであるが、同時にまたその母はただ一人の男の子をその手から失っているのである。