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Japanische Klassiker mit Furigana

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としょかんほうをちほうのばんにんのてに

図書館法を地方の万人の手に

中井 正一

Lesen Sie 図書館法を地方の万人の手に (としょかんほうをちほうのばんにんのてに) von 中井 正一 (なかいまさかず) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.589 Zeichen · 4 Bildschirme

Aozora Bunko

苦々しいこころで、図書館長である私は、このありうべからざる現実を凝視していた。自分の金のプールをつくって、かろうじて良書を図書館に確保していたのであった。

大阪へリュックサックを背負っていった、この田島の一青年は、私の図書館が集めえたよりも、もっと良書を、私の眼前に、そのリュックサックの中から取り出して見せたではないか。

私の腹の底には、消せない憤りが、沸りたつのをどうすることもできなかった。

いくら、私が怒ってみても、そこには、どうすることもできぬ、機構の幾重にも張りめぐらされた、謬りが、蜘蛛の巣のように横たわっているのであった。

その謬りの果、辿り辿ってゆけば、やがては、それは政治の、法律の欠陥にまでたちいたるのである。

地方の涯で、どうすることもできぬ謬りに直面しているものの歯ぎしり、これは、世界のどこにも漲っているかも知れない、凡人の悲しみである。

しかし、私は、それを、何人のこころにもある、巨大な悲しみとして、胸の底にしまいこんだ。

私は、ひそかに、悪いことをするもののように、いつの日にか、良い本が出たら、一千冊を直ぐ、買うことのできる、また売ることのできる、大手を振って注文できる組織を、大衆の名において、つくって見せる日に近づこうと誓った。