Japanische Klassiker mit Furigana
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としょかん
図書館
宮本 百合子
Lesen Sie 図書館 (としょかん) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.707 Zeichen · 14 Bildschirme
混む省線の中で、どっと乗りこんで来た専門学校の学生のかたまりなどと、計らずも密着して立ち、揺られてゆくようなとき、それらの若い顔の粗笨な単調な刻みにおどろきを感じたことが一度ならずある。戦争は、におやかであるべき青春の相貌を、このようなものに変えた。その思いで、いつも、心の底ふかくこたえて来る感銘があるのであった。戦争をさしはさんで何年ぶりかで図書館へ来て見れば、図書館に充満しているのは、そのような青春の顔々である。これらの顔々が、人間らしい軟かさ、鋭さ、明確さの交々流動するものに、両び成りかわってゆこうとしている。その無言の欲求が、ここにこれだけの数のその顔々をあつめていると思えるのである。これらの人々が、今日読もうとしている書物は、何であろう。
そう思って、新刊書のおかれている網棚の方へ目を移そうとしたとき、入口わきの凹みに、横顔をこちらへ向けて小卓に向い、何か読んでいる一人の司書の老人に注意をひかれた。黒い上っぱりを着ている。袖口がくくられてふくらんでいる。その横顔の顎の骨は、私の記憶のなかにくっきりとしているとおりのおとなしい強情さで小さく張っている。