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Japanische Klassiker mit Furigana

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こくじはんのゆくえ

国事犯の行方

国枝 史郎

Lesen Sie 国事犯の行方 (こくじはんのゆくえ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.341 Zeichen · 13 Bildschirme

Aozora Bunko

「あ、鉄棒が落ちていました」石田刑事は斯う叫んでベットリと血の着いた太い鉄棒を菜畑の中から引き出した。

武東氏はつくづく見ていたが、

「ふうん、犯人は破獄囚だな」唸るように呟いたものである。

「どうしてお解りでございますな?」石田刑事は不思議そうに訊く。

「見給え是は疑いも無く牢屋の窓格子に穿めてあったものだよ」

其時、畑の畦の中から何か堀り出した大井刑事が驚いたような顔をして飛んで来たが、

「こんな物が出て来ました」

見れば赤い獄衣である。

「いや、御明察恐れ入りました」石田刑事は頭を下げる。――武東氏は獄衣を手に取り乍ら、

「これは恐らく斯うだろう、犯人の破獄囚は情を明かし、否寧ろ嚇し付けて俥に乗って此処まで来たが車夫の密告が怖くなった処から、車夫を殺して着物を剥ぎ、そいつを着て車夫に化け、俥を曳いて逃亡したのだろう。遣口が極わめて大胆じゃ。恐らく市中へ逃げ込んでいよう」

「は、御尤でございますな」二人の刑事も同意見であった。千住警察署の警官達や法官や医者が来た頃には大方の目星や手筈迄武東氏の胸中には出来上がっていて命令を下すばかりになっていた。

検証を終えて帰庁すると先ず市中に非常線が張られた。