Japanische Klassiker mit Furigana
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こっきょう
国境
黒島 伝治
Lesen Sie 国境 (こっきょう) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.336 Zeichen · 21 Bildschirme
酒精に水をまぜて、火酒として売りつけた。資本主義時代から、飲んだくれることが労働者的であるように思いこんでいるルンペンを酒に酔わしてしまった。酒のために、困難な闘争を忘れさせた。そして、ゼーヤから掘りだしてきた砂金を代りにポケットへしのばして、また、河を渡り、国外へ持ち去った。
今は酒は珍らしくはない。国内で作られている。
今は、五カ年計劃の実行に忙がしかった。能率増進に、職場と職場が競争した。贅沢品や、化粧品をこしらえているひまはなかった。そんなものをかえりみているどころではなかった。
寒気が裂けるように、みしみし軋る音がした。
ペーチカへ、白樺の薪を放りこんだワーシカは、窓の傍によって聴き耳を立てた。二重硝子を透して遠くに、対岸の黒河の屋根が重い支那家屋の家なみが、黒く見えた。すべてがかたまりついた雪と氷ばかりだ。部分部分が白く、きらきらと光っていた。
また、きしきしという軋りが聞えて、氷上蹄鉄を打ちつけられた馬が、氷を蹴る音がした。
「来ているぞ。また、来ているぞ」
ワーシカは、二重硝子の窓に眼をよりつけるようにして、外をうかがった。「偉大なる転換の一年」