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Japanische Klassiker mit Furigana

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『つち』について

『土』に就て

夏目 漱石

Lesen Sie 『土』に就て (『つち』について) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.185 Zeichen · 9 Bildschirme

Aozora Bunko

ただ土の下へ心が沈む丈で、人情から云っても道義心から云っても、殆んど此圧迫の賠償として何物も与えられていない。ただ土を掘り下げて暗い中へ落ちて行く丈である。

「土」を読むものは、屹度自分も泥の中を引き摺られるような気がするだろう。余もそう云う感じがした。或者は何故長塚君はこんな読みづらいものを書いたのだと疑がうかも知れない。そんな人に対して余はただ一言、斯様な生活をして居る人間が、我々と同時代に、しかも帝都を去る程遠からぬ田舎に住んで居るという悲惨な事実を、ひしと一度は胸の底に抱き締めて見たら、公等の是から先の人生観の上に、又公等の日常の行動の上に、何かの参考として利益を与えはしまいかと聞きたい。余はとくに歓楽に憧憬する若い男や若い女が、読み苦しいのを我慢して、此「土」を読む勇気を鼓舞する事を希望するのである。余の娘が年頃になって、音楽会がどうだの、帝国座がどうだのと云い募る時分になったら、余は是非此「土」を読ましたいと思って居る。娘は屹度厭だというに違ない。より多くの興味を感ずる恋愛小説と取り換えて呉れというに違ない。けれども余は其時娘に向って、面白いから読めというのではない。