Japanische Klassiker mit Furigana
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トソンラン
土城廊
金 史良
Lesen Sie 土城廊 (トソンラン) von 金 史良 (きむさりゃん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.752 Zeichen · 52 Bildschirme
六
「人攫い奴、失せろ、失せろ!」
それは洋服男達を遠くの方へと追ってゆくのであろう、だんだんと小さくなって行った。
六
救護隊の叫び廻る声を聞いて元三はもぞもぞ出て来た。土城にはもう誰もいない、何だか怯くなって爺は上の方へのそりのそり這い上ってみた。そしてその一角に固く口を結んで突立った。漫々と漂う濁流の上に、夕陽の反照が赤々と濺がれている。流れを縦に切って鮮かなスペクトルが土城に迫っていた。遥か西の方の竜岳山の険しい峯の上には雨雲がわだかまり、太陽がその上に魔法使の投げた兜のようにふんわりと浮んでいた。
元三は眩しそうに頬肉を畳み上げ顔をひどく顰めていた。厚ぽったい大きな脣がきゅっと歪められている。大きな両眼の縁には何か白いものが光って見えた。
燕の群が中流の上を飛び交うている。無数の燕がぱっと舞い上っては宙で金色の逆光に突きさされて羽ばたいたかと見ると、今度は又嵐に吹き散る落葉のようにひらひらと落ちかかる。藁屋根が河馬のように横になり縦になりつつ立ちさわぐ渦巻の中を流れて来た。それを見て燕の群はさっとその上に悉く舞い下りるのだ。
それと共にどうしたのか急に落日の斜陽も薄れてしまった。