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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちずにないまち

地図にない街

橋本 五郎

Lesen Sie 地図にない街 (ちずにないまち) von 橋本 五郎 (はしもとごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.139 Zeichen · 32 Bildschirme

Aozora Bunko

明るい電燈の下で、丸い老人の顔はつやつやと光った。柔和な瞳は絶えず幸福に輝いていた。子供子供した厚ぼったい掌は、氏の掌よりもよほど美しかった。

――老人は決して乞食ではない、と悟ると氏は今までにない恐怖に似たものを感じたという。

がまた自分の、今といってどこへ行くべき当てもないことを考えた時、その恐怖に似たものは、いつか知らずうすれていって、やがて流し場へあぐらをかいた氏は、もう老人の背を流したり、老人から背を流されたりしていた。湯屋で借りた手拭の汚れも、今はまったく気にかからなかった。

しかしこの時、氏はすでに恐ろしい計画の中へ、老人のために追いやられているのだと誰が知ろう!

湯から出た老人は、一服つけた後独り言のようにいった。

「さてと、今日はお客様があるのだから、本邸より別荘へ行くとするかな」

老人にともなわれて、氏は暗いいくつかの路地をぬけた。両側にはガラス戸のある家などは一軒もなかった。おそらく建て方のいびつなためであろう。閉められた板戸の隅々から、弱い電燈の光がそれ等の家々のつづまやかさを洩らしていた。太陽の下で見ることができたならば、おそらくそこはゴミゴミした、貧しい人達の一区ででもあったに違いない。