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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちすいかふうくう

地水火風空

豊島 与志雄

Lesen Sie 地水火風空 (ちすいかふうくう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.831 Zeichen · 4 Bildschirme

Aozora Bunko

キャカラバアと云えば、地水火風空の意味である。

「この碑の由来を知っているか。」

「知りません。」

「なに知らない。君は大学に三年も通って、何を学んだ。」

私は反問した。

「じゃあ、この碑の由来を、あなたは御存じなんですか。」

「はははは、わしも知らない。」

私は唖然とした。

月の光が一面に降り注いでいた。その光の下のこんもりとした木影の中に、ぬっと立っている仏像と梵字の碑が、怪しく私の頭に刻み込まれた。

それは、私が大学を卒業して四五年後の話である。

それからやがて、大正十二年の大地震が起った。大学の中はめちゃくちゃになった。碑のことなんかを、恐らく誰一人顧慮する者はなかったろう。

翌年の春の半、私は或る爽かな夜の九時頃、酔心地のものうい足を引きずって、不忍池の方から戻って来て、大学の裏門から正面へぬけようとした。そして、八角講堂の裏を通る時、ふと、季節こそ違え同じような気分で、A老人と一緒にそこを通ったことを思い出した。

「あの碑はどうなったかしら。」

震災のため廃墟のようになった構内を見廻しながら、心覚えのあたりまでやって来ると朦ろな月の光に、破損が却って風致をましてる工科大学の古めかしいシャトーを背景にして、これはまた湍々しい冬青樹の若葉の下影に、例の碑がぬっとつっ立っていた。