Japanische Klassiker mit Furigana
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じごくふうけい
地獄風景
江戸川 乱歩
Lesen Sie 地獄風景 (じごくふうけい) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 53.774 Zeichen · 108 Bildschirme
「マア……」
と声を呑んで、立ちすくんだまま、折枝は二の句がつげなかった。
「君、その辺に人の気配はしなかったかい。誰かに出会わなかったかい」
雷蔵の声が一層低められた。
「イイエ、でもどうして?」
「犯人さ。ちま子さんを殺した奴が、まだこの迷路の中にウロウロしているかも知れないのだ」
折枝はそれを聞くと、ゾーッとして身体中の血が冷たくなる様な気がした。
「あたし誰にも……」彼女は蚊の様な声になって「あんたは? 誰か見て?」
「見ない。だが、足音を聞いた。僕がここへ、ちま子さんの倒れている所へ駈けつけた時、黒い風みたいなものが逃げ出して行った。バタバタと足音がした」
ヒソヒソ声が、まるで怪談でも聞いている様に物凄く感じられた。
「怖い。あたし怖いわ。どうしましょう。あんたどうかしてこちらへ来られない? 一人ぼっちじゃ心細いわ」
折枝が泣き声になって見えぬ姿にすがりつく様に云った。
「それよりも、早くみんなに、このことを知らせなきゃ、……君も一生懸命に出口を探し給え。僕もそうするから。ただ……」
「エ、なんておっしゃったの?」
「ただね、ちま子さんを殺した奴を用心し給え、姿は見えなくても、足音でも聞いたら、大きな声で、怒鳴るんだ。