Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
じごくふうけい
地獄風景
江戸川 乱歩
Lesen Sie 地獄風景 (じごくふうけい) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 53.774 Zeichen · 108 Bildschirme
「ホウ、ホウ、……」
短剣が命中する毎に、麗子はさも嬉しげに、異様な快感の叫び声を発した。
「今度は腋の下。少し皮を切るぜ」
譲次が無造作にかけ声しながら、ハッシと投げた最後の短剣は、アア何という妙技、彼の言葉は違わず、麗子の腋の下の皮膚を、危険のない程度に、極く薄く戸板へ縫いつけてしまった。
サッとほとばしる鮮血。
麗子は、態と大袈裟に「アレエ」と叫びながら、併しさもさも快げな表情で、目をふせて、腋の下にブルブル震う短剣を眺めた。身肉に喰い入った冷たい鋼鉄の感触。ふき出し流れる血潮の匂。変質者のあさましき法悦境だ。
譲次は譲次で、恋人の白い肉体を、網目に伝いおちる真赤な液体の美しさに、目を細くして眺め入っている。
十秒、二十秒、
何ぜか麗子の目は、食い入る様に腋の下の短剣を見つめたまま動かぬのだ。マゾヒストの喜びにしては、余りに長い凝視、異様に鋭い目の色ではないか。
「オイ。どうしたんだ。何をそんなに見つめているんだ」譲次が耐りかねて尋ねた。
「ジョージ! この短剣、一本足りなくなってやしない?」
麗子はやっと目を上げて、乾いた声で云って、じっと相手の顔を見た。