Japanische Klassiker mit Furigana
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じごくふうけい
地獄風景
江戸川 乱歩
Lesen Sie 地獄風景 (じごくふうけい) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 53.774 Zeichen · 108 Bildschirme
時は初夏、青々と奥底知れず澄み渡った大空に、一沫の雲もなく、太陽は娯楽園の山々谷々、奇怪なる建築物の数々を、白と黒とのクッキリした陰影に染め為して、その全景を、立昇る陽炎と共に、鏡の青空へそのまま投影させているかに見えた。
開園当時の、招待客雑沓時代が過ぎて、ジロ楽園は、本当の仲間内丈けの、気兼ねのない遊楽地となっていた。
もう客案内をする用のない悪魔姿の船頭は、ゴンドラ舟を陸上げして、椎の木蔭に昼寝をしていた。随って、園の出入口は、全く交通を途絶せられ、園内にさ迷い入る邪魔者を気に掛ける必要もなく、猟奇の同人達は思うがままに遊び狂うことが出来るのだ。
その同人というのは、園主の喜多川治良右衛門を初めとして、左の悪友男女の一群であった。
○木下鮎子――治良右衛門の恋人、二十歳、急流の鮎の様にピチピチと快活な娘。
○諸口ちま子――治良右衛門のもう一人の恋人、二十一歳、ロマンティクな女詩人にして女画家、楽園の設計をも手伝った才能ある娘。
○大野雷蔵――治良右衛門の少年時代よりの親友、三十五歳、世に容れられぬ劇作家、怪奇なる幻想家。
○人見折枝――雷蔵の恋人、十九歳、けしの花の様に美しく無邪気な資産家令嬢。