Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

さかたのばあい

坂田の場合

豊島 与志雄

Lesen Sie 坂田の場合 (さかたのばあい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.335 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

睡眠にかけては実に貪婪なのだ。昼寝をしておいて、夕食に起きてきて、夕刊新聞を見てしまうと、またすぐ寝床にはいることがある。精神的にか肉体的にか、なにか病気なのかも知れない。そして彼は現在では、三十万余の金を持っている。そしてなお殖えつつある。而もそれが殆んど全部、不動産はなくて株券か現金かなのだ。だがこのことについては先に述べよう。

右のような坂田とその財産とは、落着いた慎ましい中流生活にとっては、不均衡なのは云うまでもない。そしてこの家庭生活は全く、母親の多少の貯蓄と坂田が月々母親に渡す金と、母親自身の人柄、それだけに依存していた。彼女は無口なおっとりとした肥満した老人で、何か悟りすましたようなところがあって、坂田に対して干渉がましい口を利かず、内心では、坂田の貨殖の才と、将来の何かの野望とを、想像し期待していたのかも知れない。それ故、坂田自身は家庭の中にあって、云わば浮き上ってしまっていて、下宿してるのも同様な有様だった。

坂田の書斎がまた、そのことを裏書きしてるようだった。この書斎は坂田が洋室に改造さしたもので、家の中で全く別個の相貌を呈していた。