Japanische Klassiker mit Furigana
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こうふ
坑夫
Lesen Sie 坑夫 (こうふ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.690 Zeichen · 283 Bildschirme
「ええ」
と答えて置いた。幸い今度はさっきのようにむやみには冷やかされずに、まあ無難に済んだ。上がって来るものも、来るものも、みんな急いで降りて行くんで、調戯う暇がなかったんだろう。その代り一人に一度ずつは必ず睨まれた。そうこうしている内に、上がって来るものがようやく絶えたから、自分はようやく寛容いだ思いをして、囲炉裏の炭の赤くなったのを見詰めて、いろいろ考え出した。もちろん纏まりようのない、かつ考えれば考えるほど馬鹿になる考えだが、火を見詰ていると、炭の中にそう云う妄想がちらちらちらちら燃えてくるんだから仕方がない。とうとう自分の魂が赤い炭の中へ抜出して、火気に煽られながら、むやみに踊をおどってるような変な心持になった時に、突然、
「草臥れたろうから、もう御休みなさい」
と云われた。
見ると、さっきの婆さんが、立っている。やっぱり襷掛のままである。いつの間に上がって来たものか、ちっとも気がつかなかった。自分の魂が遠慮なく火の中を馳け廻って、艶子さんになったり、澄江さんになったり、親爺になったり、金さんになったり、――被布やら、廂髪やら、赤毛布やら、唸り声やら、揚饅頭やら、華厳の滝やら――幾多無数の幻影が、囲炉裏の中に躍り狂って、立ち騰る火の気の裏に追いつ追われつ、日向に浮かぶ塵と思われるまで夥しく出て来た最中