Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
こうふ
坑夫
Lesen Sie 坑夫 (こうふ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.690 Zeichen · 283 Bildschirme
ただ暗い所へ行きたい、行かなくっちゃならないと思いながら、雲を攫むような料簡で歩いて来ると、後からおいおい呼ぶものがある。どんなに魂がうろついてる時でも呼ばれて見ると性根があるのは不思議なものだ。自分は何の気もなく振り向いた。応ずるためと云う意識さえ持たなかったのは事実である。しかし振り向いて見て始めて気がついた。自分はさっきの茶店からまだ二十間とは離れていない。その茶店の前の往来へ、例の袢天とどてらの合の子が出て、脂だらけの歯をあらわに曝しながらしきりに自分を呼んでいる。
昨夕東京を立ってから、まだ人間に口を利いた事がない。人から言葉を掛けられようなどとは夢にも予期していなかった。言葉を掛けられる資格などはまるで無いものと自信し切っていた。ところへ突然呼び懸けられたのだから――粗末な歯並びだが向き出しに笑顔を見せてしきりに手招きをしているのだから、ぼんやり振り返った時の心持が、自然と判然すると共に、自分の足はいつの間にか、その男の方へ動き出した。
実を云うとこの男の顔も服装も動作もあんまり気に入っちゃいない。ことにさっき白い眼でじろじろやられた時なぞは、何となく嫌悪の念が胸の裡に萌し掛けたくらいである。