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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼちてんぼうてい

墓地展望亭

久生 十蘭

Lesen Sie 墓地展望亭 (ぼちてんぼうてい) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 46.485 Zeichen · 93 Bildschirme

Aozora Bunko

広間で、三人の掃除男がせっせと大理石の床を洗っていた。

「鼬鼠のケープを着た、若い娘さんが出て行くのを見かけなかったかね」

三人が、ほとんど同時に答えた。

「見かけませんでした」

竜太郎は広間を横切って不寝番の部屋へ駆けて行った。不寝番は、ちょうど寝床に入ろうとしていたところだった。

「……鼬鼠のケープね?……いや、見かけませんでした。四時ごろひめじ釣りに行く英吉利人が二人出て行っただけでした」

少女がこのホテルに泊っているのでないらしいことは、竜太郎はうすうす知っている。だまって行ってしまったとすれば、ほとんど探し出すあてはないのだった。サン・ラファエルからモンテ・キャルロまでの、この碧瑠璃海岸にある無数のホテルを、どういう方法でたずね廻ろうというのか、名前さえも知らないのに。

(一分毎に、あの娘は遠くなる)

気が焦ら立って来て、じっと立っていられなかった。

竜太郎は、せわしく足を踏みかえながら、

「帳場は何時に開くのか」

不寝番は、ゆっくりとニッケルの懐中時計をひき出しながら、

「まず、大体……」

とても、待っていられなかった。

「よしよし、自分で行って見る」