Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼちてんぼうてい

墓地展望亭

久生 十蘭

Lesen Sie 墓地展望亭 (ぼちてんぼうてい) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 46.485 Zeichen · 93 Bildschirme

Aozora Bunko

……それから、白い煙。……

これだけの簡単な操作を、単調に繰り返すだけだった。何か途方に暮れるような、あっ気なさだった。

竜太郎の左隣りの老人が、赤児の泣くような叫び声を上げながら崩れるように横倒れになった。竜太郎の耳には、はっきりと、おぎゃアと聞えた。

いよいよ、竜太郎の番になった。小太鼓が鳴り出した。竜太郎の身体のどこかがキュッと痙攣れる。しかし、恐怖の感じは、まるっきりなかった。

(王女万歳! と叫んでやろう。ひとつ、日本語でやるかな)

心の中で、こんな陽気なことを考えていた。

その瞬間、思いがけないひとつの想念が、隕石のように心のうえに落ちかかった。……じぶんの厭世的な感情も、自棄的な態度も、絶え間ない自殺への憧憬も、それらは、みな、じぶんの母国へのやるせない郷愁のせいであったということを! 母国!……この最後の時になって、はじめて、はっきりと、それを了解した。

(祖国!)

はるかな日本の山川のただずまいを、灼きつくような思いで、心のうえに、思い浮べた。ぼんやりと、眼が霞んできた……。

兵士が銃を取り上げた。

ずらりと並んだ黒い銃口の後に、鈍重な顔、無心な顔、快活な顔、生真面目な顔……。