Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼちてんぼうてい
墓地展望亭
久生 十蘭
Lesen Sie 墓地展望亭 (ぼちてんぼうてい) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 46.485 Zeichen · 93 Bildschirme
「早くして、ちょうだい。どうぞ、早く」
竜太郎は、ひと跳びに馬車の方へ跳んで行って、その中へ転げ込んだ。
「エレアーナ!」
「あなた……あなた。……死ぬまでかわらないと誓ったでしょう。どうぞ、わたしといっしょに、死んで、ちょうだい」
返事の代りに、竜太郎は王女の身体を、精いっぱい抱き締めた。力のあらん限り。
馬車は、国境に向って、走り出した。馬を御しているのは、敏感そうな顔をした、あの、ヤロスラフ少年だった。
「墓地展望亭」の窓が暮れかけて、二人の顔が、薄闇のなかに、ぼんやりと白く浮いていた。窓から射し込む桃色の余映が、王女の頬の上にたゆたって、ちょうど、そこに、薔薇の花でも咲き出したように見えるのだった。
志村氏が、つづけた。
「……二人は、もちろん、助かろうとは思っていなかった。追手がかかるくらいだから国境の哨所には、もう電話がいってることでしょうし、行けば、捕まるにきまってるでしょう。……捕まるとどうなるんです。私が撃ち殺されるのは言うまでもないが、エレアーナは連れ戻されて七十になる大公と結婚させられるか、さもなければ、死ぬまで修道院にでも押しこめられて、死んだような一生を送らなければならない。