Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

へんなおとこ

変な男

豊島 与志雄

Lesen Sie 変な男 (へんなおとこ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.508 Zeichen · 81 Bildschirme

Aozora Bunko

そして七月の熱い日に、初めて夕立がして、その雨がまたじとじと降り続いてる夕方、洗いざらしの浴衣に短い袴をつけ鳥打帽を被った男が、びしょ濡れになってやって来た。雨の中を板裏の草履で歩いて来たので、背中まで跳泥が一杯上っていた。辰代はそれを、一度見たような男だとは思ったが、はっきり思い出せなかったので、気がつけば放っておけない気性から、袴だけ脱がして、火に乾かして泥を落してやった。そして彼は、夕飯を食って、袴をつけて、雨がまだ少し降ってる中を、緑に礼も云わずに帰っていった。辰代はわざと、傘も貸してやらなかった。今井ももう、自分の傘を持ってはいなかった。

するとその晩、中村が一寸外出しかけると、足駄が見えなかった。何処を探しても見付からなかった。確かにその足駄は、辰代が昼間洗い清めて、裏口に干していたのを、夕立の時慌てて取込んで、玄関に置きっ放しにした筈だった。そう思って彼女は、なお玄関の土間をよく見ると、隅の方に板裏の汚れ草履が脱ぎ捨ててあった。あの男が足駄をはいていったに違いなかった。

丁度今井が玄関の茶の間に坐っていたので、辰代はその方へ急き込んで尋ねた。