Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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へんなおとこ

変な男

豊島 与志雄

Lesen Sie 変な男 (へんなおとこ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.508 Zeichen · 81 Bildschirme

Aozora Bunko

澄子はどうしていいか分らなかった。彼女には何もかも変梃に思われた。母があれきり何とも云わないで、而も三度三度の食事の膳を、自分で今井の所へ運んでゆくのも、また中村が始終笑顔をして、今井の姿を見送るのも、また今井がこれまで通りに、長い間階下の縁側に屈んでいたり、金魚の水を代えてやったりするのも、凡てが変梃に思われた。そして、茶の間の晩の雑談に、今井が決して加わらなくなったのだけが、はっきり彼女の腑に落ちたけれど、その楽しい雑談に於ても、母と中村とが妙に黙り込むことが多くて、何だか互に腹をでも立ててるかのようなのが、やはり彼女には合点ゆかなかった。何もかも調子が狂ってきた、とそういう気がした。

そして最もいけないのは、澄子の様子をじっと窺ってる今井の眼だった。澄子はその眼を、あらゆることのうちに感じた。

彼はこれまで、朝顔を洗うのに、ただ水でじゃぶじゃぶやるだけだったが、或る朝澄子が喫驚したことには、彼女がいつも使うクラブ洗粉を、いつのまにか買ってきて、それで念入りに洗っていた。髯を剃った後には、彼女が用ゆるのと同じホーカー液を、女らしい手附でぬっていた。