Japanische Klassiker mit Furigana
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なつのそうれつ
夏の葬列
山川 方夫
Lesen Sie 夏の葬列 (なつのそうれつ) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 60.161 Zeichen · 122 Bildschirme
ものにおもう。さらに、それを想うたびに、まるでショウ・ウィンドウの向うの一皿料理を見るみたいな、それに手のとどかぬ焦躁と猛烈な嗜欲と絶望とをかんじるのだ。無気力で、つねにそれぞれのタコ壺のような沈黙のなかにとじこもった残留組の中で、同じような沈黙の日常をくりかえしながら、ぼくはいつもそういった抽象的な空腹感と、現実の腹を刺すそれとを、ほとんど絶え間なく交互に味わいつづけていた。
ぼくはそして、ときどきこんなことを思うようになった。何故、こんなにまでして通学せねばならないのか。このような毎日をつづける意味は、要するに「大学出」になることでしかない。でも、ぼくはこれからの生活は、いったいどうして行くつもりなのか?
腕に職のない「大学出」の悲劇を、疎開先での生活のうちに、数かぎりなく見聞したせいもあった。一年まえに父を亡くした個人的な家庭の事情もあって、早く「大学出」になり、一人前に金をカセがなければならない。しかし、そうしてただ卒業を焦り、落第をおそれた通学をつづけながら、ぼくはようやく経済的にも多大の出血を要求する通学、相模湾べりの海岸の中央部に位置する漁師町からの、毎日往復五時間弱を要する通学に――また、そんなぼくが、日々空っぽの貨物列車みたいな、単調で無意味なただ時間を消すだけの義務的な往復しかくりかえし