Japanische Klassiker mit Furigana
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なつのそうれつ
夏の葬列
山川 方夫
Lesen Sie 夏の葬列 (なつのそうれつ) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 60.161 Zeichen · 122 Bildschirme
――それは、力を極度に倹約して、しかも快適な速度感を味わうことができる、不思議なほど面白いあそびだった。……ぼくの回転は徐々に急速となり、めまぐるしく、意識が遠心分離機にかかって遠くへ振り飛ばされるみたいに、二、三回、胆の冷えるような夢幻的な思いがはしって、やがて力無く、ぼくのからだは一箇の死体のように停る。そのまま、たいていはぼくは鼻を斜めに枯芝か地面に押しつけ、しばらくは呼吸を殺している。――とくに、ぼくは最後の、「死体のように」停止し、静止する寸前の感覚を好んだ。そのとき、ぼくは人間のかたちをした、一箇の完全な「物」になりきっているのだ。「物」のみがもつ無心の静謐、確乎たる不動の感覚、言葉のない、しかし有限な一つの暗い充溢、無責任な物質の充溢だけに任しているのだ。……
だから、ぼくはまた斜面を這いあがると、横ざまに倒れ青空の奥をみつめたまま、ちょうど山から伐り出されてきた材木のような姿勢をとり、またしてもころげ落ちる。――「野球」をするほどのエネルギーもすでに持ち合わせてはいないぼくは、飽きるまでそれをつづけたあと、よく膝小僧をかかえて、生暖かい日射しを正面から浴びながら、放心したような時間にはいった。