Japanische Klassiker mit Furigana
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なつのそうれつ
夏の葬列
山川 方夫
Lesen Sie 夏の葬列 (なつのそうれつ) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 60.161 Zeichen · 122 Bildschirme
ぼくが山口に、二人でいるときよりもさらに深い、あたたかい友情をかんじるのは、そんなときであった。彼はぼくの邪魔をしない。ぼくも彼の邪魔をしない。二人の倫理感、他人についての理解は一致しているのだ。ぼくは彼が好きだ。彼もきっと、ぼくを好きだ。……突拍子もなく、鋭くそうぼくは思ったりした。自分の空腹をしのんで、毎日ぼくが彼と弁当を半分わけにし、そのときしか話しあわないぼくら二人の連帯を、ぼくは、だからこそ気らくで、貴重なのだ、と思った。いくら腹がへっても、ぼくはだからその習慣を変えたくはなかった。縁まで水のはいったコップを捧げもつみたいに、ぼくはただそれだけの友情、ただそれだけの山口との関係を大切に守りつづけた。休んだ日には、山口へというよりも、その友情への危惧と申しわけなさとで胸がいっぱいになった。
二月の初めころだろうか。ぼくら残留組にあてられた小部屋で、ときどき教師からたのまれるガリ版刷りの試験用紙の作製に、ぼくが蝋紙に鉄筆で字を書いているときであった。同僚たちはそれぞれ手分けをして、のろのろと全員でその仕事を手つだっているのに、山口の姿だけが見えなかった。