Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なつのそうれつ

夏の葬列

山川 方夫

Lesen Sie 夏の葬列 (なつのそうれつ) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 60.161 Zeichen · 122 Bildschirme

Aozora Bunko

「あの人の家は、どこか下町のほうの大きな地主でしょ? もう相当に貯めこんでるんじゃないかな。だいいち、土地をちょっと手離せばいいのにね。べつに全員で食事まで倹約しなくても……」

「でも、土地は持ってれば持ってるほど値段が上りますよ。そこが、いかにも山口さんのお家らしいところじゃない?」

ローラーを持った同僚がいった。人びとはまた無気力な笑い声を合わせた。

ぼくは黙っていた。――やはり、それはショックだった。父が死に、家には金がなく、おまけに未帰還の夫を待つ母の妹である叔母が、五つと三つの男の子をつれて同居している。ぼくの弁当のみすぼらしさは、だから、やむをえないことだ。が、山口の家は、その気になれば、らくに闇米でも買えるだけのお金があるのらしい。では、ぼくのしていることはいったいなんだろうか? ぼくは、彼がぼくの勝手に信じこんでいたような「仲間」ではないのだと思った。金のないぼくがただでさえ貧しい弁当をわけてやって、金のある彼は、そのぼくの好意を利用しながらすっぽりと「リッパな家」におさまろうとしている。ぼくのお節介はなるほどコッケイだが、彼のやり口もずいぶん不正直でアクドイのではないだろうか?