Japanische Klassiker mit Furigana
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なつのそうれつ
夏の葬列
山川 方夫
Lesen Sie 夏の葬列 (なつのそうれつ) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 60.161 Zeichen · 122 Bildschirme
冬の日は暮れるのがはやかった。山口と学校の前で別れ、一人で品川行の都電を待っていると、もうぼくの想うのは夕食のことぐらいしかなかった。空腹感をそそるかにあたりは黄昏れはじめ、気ばやな家々に灯がともりはじめて行く。そんなときの読書はただの気休めにすぎない。なかなかやってこない都電も、くれば満員にきまっている。そんな中で肩をせまく、捧げるようにしてその日の分の本を無理に読みつづけるうち、ほんとに、何故こんなにまでして授業のない学校に通わねばならないのか。いや、生きて行くことにつとめねばならないのか。生きるということは、こんなにも面倒でつまらないものだろうか。ときどき、ぼくはそう心の底から冷えびえと思った。すると、氷のような風に裸身をさらしているみたいな、そしてその寒さが、空洞でしかないぼくを内側からむしばんで行くみたいな、するどい刺すような痛みが――いや、そんな痛みに似た無意味で無資格なあてもない悲しみのようなものが、全身に煙のように漂いだす。ひととき、ぼくは生きるということの意味を考えるのを忘れる。ただたのしげに明朗に、充実した生活を送っている人びとの才能を、まったくぼくの理解を越えたものだと思う。