Japanische Klassiker mit Furigana
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なつのそうれつ
夏の葬列
山川 方夫
Lesen Sie 夏の葬列 (なつのそうれつ) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 60.161 Zeichen · 122 Bildschirme
そのころのぼくにとって、読書は、ただ読むだけのことに意味のある、熱病じみた充実感への偏執なのであった。
だが、帰途はその本も読めなかった。人間たちのラッシュと、疲労と、適度の震動と、車内の薄暗さから、毎日のようにぼくは居睡りをするのだった。……客車には、品川ではほとんど乗りこむ余地がなかった。で、ぼくの乗るのは、たいてい、当時一列車に三台ぐらいはかならずはさみこまれていた、有蓋貨車の代用客車だった。――それは、床に桟があって、脚の安定が危かったが、割れたままのガラス窓から吹きこむ縮みあがるような隙間風もなく、暗くても戸を閉ざしたら人いきれで暖かかったし、座席の設備がないかわりに、立ったままどこまでも鮨詰めになるため人がたくさんつまり、ウンウン前のやつの背を押しているうちにかならずいつのまにか自分も乗りこめているので、もっぱらぼくが愛用した客車だった。ただ、まだ背の伸びきっていないぼくは、人びとの肩までの高さしかないのでそのままでは呼吸がつまる。だから車内にはいり列車が動きだすと、ぼくは尺取虫のように必死に背のびをくりかえして、顔を人びとの肩の上に出す。