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Japanische Klassiker mit Furigana

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なつめせんせいのついおく

夏目先生の追憶

和辻 哲郎

Lesen Sie 夏目先生の追憶 (なつめせんせいのついおく) von 和辻 哲郎 (わつじてつろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.272 Zeichen · 21 Bildschirme

Aozora Bunko

六

その内にひそむ虚偽、不公平、私情などに対して正義の情熱の燃え上がるのを禁じ得なかった。これは先生として当然な事である。「博士」は多くの場合に対世間的な根の浅い名声の案山子である。博士であると否とにかかわらず学者の価値はその仕事の価値によってのみ定まる。しかも世間は「博士」が大きい仕事の標徴であるかのごとくに考えている。そこに不正と虚偽がある。この点についてはおそらく真に真理のために努力する学者たちは先生の態度を是認しないでいられないだろう。

六

徳義的脊骨のあるものには四周からうるさい事、苦しい事が集まって来る。先生はそのために絶えず癇癪を起こさなければならなかった。しかも先生はその敏感と情熱とのために、さらに内からその苦しみを強くしなければならなかった。先生の禅情はこの痛苦の対策として現われた傾向である。

先生の超脱の要求は(非人情への努力は)、痛苦の過多に苦しむ者のみが解し得る心持ちである。我々は非人情を呼ぶ声の裏にあふれ過ぎる人情のある事を忘れてはならない。娘がめっかちになって自分の前に出て来ても、ウンそうかと言って平気でいられるようになりたい、という言葉の奥には、熱し過ぎた親の愛が渦巻いているのである。