Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
なつめせんせいのついおく
夏目先生の追憶
和辻 哲郎
Lesen Sie 夏目先生の追憶 (なつめせんせいのついおく) von 和辻 哲郎 (わつじてつろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.272 Zeichen · 21 Bildschirme
寂しく悲しく苦しかったに相違ない。(たとえ種々の点でいわゆる徹底家よりも「あきらめ」に沈んだ先生の方がはるかに徹底していたとはいえ。)
それゆえ先生は「生」を謳歌しなかった。生きている事はいたし方のない事実である。望ましいことでも望むべき事でもない。ただしかし生きている以上は本能的な生への執着がある、しなければならない事、則らなければならない法則もある。それは苦しいかもしれない、苦しくてもやむを得ない。――そもそも生きる事が苦しむ事なのである。生きている以上は種々の日常の不快事を(他人の不正や自分自身の不完全や好ましくない運命やを)避ける事ができぬ。むしろそれらの不快事が生きている事の証拠である。人生とはもともとかくのごときものにほかならなかった。
しかし先生は「死」を「生」より尊しとしながらも、「死」を謳歌しなかった。死もまたいたし方のない「事実」として存在する。それは瞑想する自分には望ましい事実であるが、本能的には恐ろしい。強いて死を求めるのは不自然である。けれども死が人間の運命だという事は人間の不幸ではない。従って死んでもいいし死ななくてもいい、生きていてもいいし、生きていなくてもいい。