Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

よるのくつ

夜の靴

横光 利一

Lesen Sie 夜の靴 (よるのくつ) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.056 Zeichen · 213 Bildschirme

Aozora Bunko

「どうでした。今夜のここのお料理は、それはおいしかったですよ。」

「僕の方は、あの有名な医者が出てひとり演説だ。おれはあの人の科学談を拝聴しに行っただけだよ。」

あの医者といえばもう分る。

「ああ、あの人ね、あの人ならそうでしょう。鶴岡にむかしいた人ですの。ほら、お腹の中へ、鋏を置き忘れたという人。」

妻もすぐ思い出したと見え、そう云ってくつくつ笑った。妙な人気である。しかし、宿へ帰ってこうして落ちついてみると、不思議な面白さが湧いて来るのを覚え、後が愉快だった。実に田舎らしい頓間な空気の中に溶けこんだ、あの医者の粗忽な逸話の醸す酔いのためかもしれない。

十一月――日

子供たちは正午ごろどやどやと部屋へ這入って来た。すると、もう服を脱ぎにかかって湯へ飛び込む。先ず一ぷく、などということのないのが、ぴちぴち跳ねる鱗の周囲にいるように感じて、私の一ぷくが一層休息らしく思われて来る。久左衛門の妻女が持たせてくれたという食用の黄菊の花を沢山袋につめて来たので、温泉の湯口の熱湯で茹でて食べる。妻は番頭が持って来た新九谷の茶器の湯呑が気に入ったといっては、それを眺めてばかりいる。