Japanische Klassiker mit Furigana
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よるのくつ
夜の靴
横光 利一
Lesen Sie 夜の靴 (よるのくつ) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.056 Zeichen · 213 Bildschirme
これは不作だと。
一粒の米を地に播くと三百粒の実をつける。一升五万粒を得るためには、百六十六粒の種子が必要となるわけだが、一反で二石の収穫を普通とするここでは、供出量を一反につき二石と命ぜられたとのことである。それなら来年度の種子米さえないわけだ。しかしながら、二石とり得られるのはすべての家からではない。一反につき一石七八斗の家が多い。良くて二石二三斗。それだと供出をするのに、どうしても無い家はある家から、不足の分二三斗を借りねばならず、そうして完納をすませた結果は、良くとれた家の米を無くしてしまい、現在のこの村の悲鳴となって来たのである。その上に約束の配給がないとすれば、日日自分の喰う米を借り歩くのも、どこから借りるかが問題だ。ところが、人手があって勉強をしたものの家は、二石五六斗も採れたのが中にはある。この家だけが供出もすませ、人にも貸し、なお二三斗を残して自分の生活を楽にしたのだが、今はこれをさえ人人は狙い始めた。この狙われているのが、別家の久左衛門だ。本家の参右衛門の方は借り歩き組の代表格で、貧農派はここの炉端を集会所にしている関係上、不平はいつもこの炉端の火の色を中心に起っている。