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Japanische Klassiker mit Furigana

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やこうちゅう

夜光虫

織田 作之助

Lesen Sie 夜光虫 (やこうちゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.871 Zeichen · 134 Bildschirme

Aozora Bunko

「莫迦をいえ! 掏摸は……」

あいつだと、小沢は毛虫を噛んだような口で、怒鳴るように言った。

「阿呆らしい」

と、亀吉は不平らしい唇を尖らせて、

「――わての方が本物の掏摸だす」

虚栄を張っているのが、おかしかった。

「本物……?」

「へえ、わては大阪一の掏摸で、五寸釘の亀吉いいまんねン」

小沢は危く噴き出しそうになった。それほど自称五寸釘の亀吉の顔は、きょとんと間が抜けていた。

「――その証拠に……」

亀吉はひとごとのように言った。

「――わては昨日ちゃアんとあんたを掏りましたぜ」

「えっ……?」

驚いたが、驚きはすぐ過ぎ去って、小沢はもとの表情になった。

いや、むしろにやりとした笑いすら泛べて――小沢は亀吉に言った。

「莫迦をいえ。おれは君なんかに掏られるもんか。掏られたおぼえは……」

「……おまへんか。え、へ、へ、……」

と、亀吉は奇妙な笑いを笑って、

「――ほんまだっか」

嘗めるような視線で、小沢の眼を嘗め廻した。

小沢はふと不安になったが、

「だいいち、掏られるものなんか、持ってるものか」

と、突っ放すように言った。

が、亀吉は突っ放されず、もう一度、

「え、へ、へ……。