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Japanische Klassiker mit Furigana

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やこうちゅう

夜光虫

織田 作之助

Lesen Sie 夜光虫 (やこうちゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.871 Zeichen · 134 Bildschirme

Aozora Bunko

えへ、へ……」

そして、唖の娘の方を向いて、

「――おれも随分大勢の肌に針を入れてきたが、今日お前の背中にしてやった刺青ほど、会心の針はなかったんやぜ。誰に見せても恥かしゅうない刺青や。お前の背中は何万円出しても買えん背中やさかいな、口はものをいわんでも、背中にものをいわすような、一人前の姐御になりや」

と、くどくどといいきかせるようにいった。

「う、う、う……」

娘はただ奇声を発しただけだった。

「あはは……。そやった。言うても聴えんのやったな」

と、針助は苦笑すると、お加代に、

「――ほな、この子を頼んだぜ」

「いやよ」

お加代が言った時は、しかし針助はもう娘を残して一人でスタスタと歩き出していた……。

「ちょっと、ちょっと、困るわよ。あたし……」

兵古帯のお加代は針助のあとを、バタバタと追うて行って、

「――あんな子あたしに預けてどうするのさ。困るわよ。――ちょっと、針助さん!」

呼びとめようとしたが、しかし、針助はふり向きもせず、鴈治郎横丁から姿を消してしまった。

お加代は諦めて、唖娘の方へ戻って来た。

「…………」

唖の娘は、もう自分はお加代について行くよりほかにないと、きめてしまったように、ちょぼんと薄暗がりの中に立って、お加代が自分の所へ戻って来るのを待っていた。