Japanische Klassiker mit Furigana
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やこうちゅう
夜光虫
織田 作之助
Lesen Sie 夜光虫 (やこうちゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.871 Zeichen · 134 Bildschirme
「いやだす、いやだす」
「わいもいやや」
次郎と三郎は口をそろえて言った。
「いやか。ほんまに、いやか」
針助の声は急に凄んだが、ふと優しい女のような声に戻ると、
「あはは……、まア、パンでも食べろ」
と、またふところから差し出した。
「…………」
次郎と三郎はしかし、もう出されたパンに手を出そうとしなかった。
針助はギラギラ燃える眼で、なめるように二人を見つめていた。
二人の身体つきは少女のようにきゃしゃで、首筋は垢でよごれているが、垢の下の皮膚は少女のように白く、何か哀れな脆さが痛々しかった。が、それだけに、
「こんな子供を裸にして、背中にプスリと刺青を入れてみたら……」
という、残酷な期待に、針助は全身がうずくようだった。
「――あの針をプスリと……」
と、針助は部屋の隅の針をちらと見た。針の先は電燈の光を浴びて、白い鋭さに冴えていた。
針助はギラギラと燃えていた眼を、急にうっとりと細めて、針の先を見つめていたが、やがて、
「ほな、どない言うても、いやか」
次郎はうなずきながら、思わず三郎に寄り添うた。
三郎はもう口も利けず、次郎にすがりついていた。
「いやなら、いやでもええ、その代り、お前らを監獄イ入れてやる」