Japanische Klassiker mit Furigana
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やこうちゅう
夜光虫
織田 作之助
Lesen Sie 夜光虫 (やこうちゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.871 Zeichen · 134 Bildschirme
だから、小沢が帰って来て、そのことをきかれるのが怖かったのだ。
それに一刻も早く宿を出たかった。
といって、しかし、著物なしでは外へ出られない。
思案に困って、ふと廊下へ出ると隣の部屋のドアがあいていて、女の著物が著物掛けに掛っているのが眼にはいった。
部屋の中をうかがうと、誰もいない、その著物の主は、べつの著物と著かえて外出しているのだろう。
ふと、魔がさした。
雪子はふらふらとその部屋にはいると、著物を盗んで、自分の部屋に帰って寝巻を脱ぐと、その著物を素早く身につけた。
そして、何くわぬ顔で、宿を出たが、間もなく宿ではその盗難に気がついて、警察へ届けた。
すぐ手配が行われ、雪子は著物の柄が目印になって、つかまったのである。……
雪子が阿倍野橋の宿屋で著物を盗んでつかまった――という、そんな事情は、もちろん豹吉は知らなかった。
だから、なぜ拘引されて行くのか、咄嗟に考えてみても判らなかった。
いや、考えてみる余裕もなかった。雪子がストリート・ガールだから検挙されたのかも知れない――と直感する余裕もなかった。
豹吉の頭に泛んだことは、
「可哀想に警察へ連れて行かれるのだ。