Japanische Klassiker mit Furigana
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やこうちゅう
夜光虫
織田 作之助
Lesen Sie 夜光虫 (やこうちゅう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 66.871 Zeichen · 134 Bildschirme
と、咄嗟に思った。
死ぬことは怖くなかった。いや手をついて謝るよりは、龍太の拳銃に射たれて、死ぬ方がいいと思った。
「おれは、今朝、人を殺したのだ。その罪のつぐないに、死のう!」
このような想いが、瞬間、高速度の早取り写真のような速さで、はっと豹吉の頭に閃いた。
豹吉は、カッと拳銃の先を見つめながら、
「射て!」
と、言った。
――いや、言いかけた、と同時に、
「お待ち!」
と、いう女の声が、聴えた。その声はまた、
「一〇!」
と、最後の数字がさすがにふるえた声になって龍太の咽喉まで出掛っていたのと、同時でもあった。
いわば、その場所にいた連中は、
「射て!」
「お待ち!」
「一〇!」
という三つの声を、同時に聴いたのだった。
豹吉ははっとして、声の方を見た。
「あ、お加代!」
龍太もふり向いて、
「あッ!」
お加代の右の手には拳銃が……。
その拳銃は、龍太の背中に向けられていた。
お加代は左の手で、唖の娘の肩を抱きながら、拳銃の引金に掛った右の手の指先に力をこめて、
「……豹吉を射つなら、射ってごらん。その代り、あんたの背中に穴があくわよ」
と龍太に言った。
「しまったッ!」