Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.172 Zeichen · 206 Bildschirme
「いや、御趣意のほどはわかりました。よくわかりました。わたしは他の僧家とも違いまして、神道を基とするのが自分の本意ですから、すこしもこれに異存はありません。これと申すも皆、前世の悪報です。やむを得ないことです。まあ、お話はお話として、お茶を一つ差し上げたい。」
そう言いながら、松雲は座を立った。ぐらぐら煮立った鉄瓶のふたを取って水をさすことも、煎茶茶碗なぞをそこへ取り出すことも、寺で製した古茶を入れて慇懃に客をもてなすことも、和尚はそれを細心な注意でやった。娑婆に生涯を寄せる和尚はその方丈を幻の住居ともしているので、必ずしもひとりをのみ楽しもうとばかりしている人ではない。でも、冷たく無関心になったこの世の人の心をどうかして揺り起こしたいと考えるような平田門人なぞの気分とはあまりにも掛け離れていた。
「どれ、位牌堂の方へ御案内しましょう。おそかれ早かれ、こういう日の来ることはわたしも思っておりました。神葬祭のことは、あれは和宮さまが御通行のころからの問題ですからな。」
という和尚は珠数を手にしながら、先に立って、廊下づたいに本堂の裏手へと半蔵らを導いた。