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Japanische Klassiker mit Furigana

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よあけまえ

夜明け前

島崎 藤村

Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.172 Zeichen · 206 Bildschirme

Aozora Bunko

そういう彼はまだ斎の道の途上にはあったが、しかしあの碓氷峠を越して来て、両国の旅人宿に草鞋を脱いだ晩から、さらに神田川に近い町中の空気の濃いところに身を置き得て、町人多吉夫婦のような気の置けない人たちのそばに自分を見つけた日から、ほとんど別の人のような心を起こした。彼はうす暗い中に起きて、台所の裏手にある井戸のそばで、すがすがしい朝の空気を胸いっぱいに吸い、まず自分の身を浄めることを始めた。そして毎朝水垢離を取る習慣をつけはじめた。

今は親しいもののだれからも遠い。一、六と定められた役所の休日に、半蔵は多吉方の二階の部屋にいて、そろそろ梅雨の季節に近づいて行く六月の町の空をながめながら、家を思い、妻を思い、子を思った。その時になると、外には台湾生蕃征討の事が起こり、内には西南地方の結社組織のうわさなぞがしきりに伝わって来て、息苦しい時代の雲行きはどうしてそうたやすく言えるわけのものでもなかったが、しかしなんとなく彼の胸にまとまって浮かんで来るものはある。うっかりすると御一新の改革も逆に流れそうで、心あるものの多くが期待したこの世の建て直しも、四民平等の新機運も、実際どうなろうかとさえ危ぶまれた。