Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.172 Zeichen · 206 Bildschirme
左衛門橋に近い多吉夫婦が家に戻って二階の部屋に袴をぬいでからも、まだ半蔵はあの常磐橋内の方に身を置くような気がしている。役所がひける前の室内の光景はまだ彼の目にある。そこには担当する課事を終わって、机の上を片づけるものがある。風呂敷包みを小脇にかかえながら雑談にふけるものもある。そのそばには手で頤をささえて同僚の話に耳を傾けるのもある。さかんな笑い声も起こっている。日ごろ半蔵が尊信する本居宣長翁のことについて、又聴きにした話を語り出した一人の同僚がそこにある。それは本居翁の弟子斎藤彦麿の日記の中に見いだされたことだというのである。ある日、彦麿はじめ二、三の内弟子が翁の家に集まって、「先生は実に活神様だ」と話しながら食事していると、給仕の下女がにわかに泣き出したというのである。子細をたずねると、その女の答えるには、実はその活神様が毎晩のように自分の寝部屋へ見える、うるささのあまり、昨夜は足で蹴ってやったが、そんな立派な活神様では罰が当たって、この足が曲がりはしないかと、それで泣いたのだと言われて、彦麿もあいた口がふさがらなかったというのである。それを聞くと、そこにいたものは皆笑った。