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Japanische Klassiker mit Furigana

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よあけまえ

夜明け前

島崎 藤村

Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.172 Zeichen · 206 Bildschirme

Aozora Bunko

男まさりな宿のかみさんは婦人としての教養もろくろく受ける機会のなかったような名もない町人の妻ではあるが、だんだん彼も付き合って見て、盤根錯節を物ともしないそのまれな気質を彼も知っていた。人は物を見定めることが大切で、捨つべきことは思い切りよく捨てねばならない、それのできないようなものは一生ウダツが揚がらないと、日ごろ口癖のように言っているのもお隅だ。遠い親類より近い他人の言うこともよく聞いて見ようとして、やがて彼は町から引き返した。

多吉の家では、ちょうど亭主も今の勤め先にあたる茅場町の店から戻って来ている時であった。そこへ半蔵が帰って行くと、多吉は彼を下座敷に迎え入れて言った。

「青山さん、いよいよ高山行きと定りましたかい。」

「いえ。」と半蔵は答えた。「わたしはまだお請けしたわけじゃありませんがね、まあ、行って働いて来るなら、今のうちでしょう。ずっと年を取ってから、行かれるような山の中じゃありませんからね。なかなか。」

その時、多吉はお隅の方を見て言った。「お隅、青山さんが今度いらっしゃるところは、東京からだと、お前、百何里というから驚くね。お国からまだ二十里あまりもある。