Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.172 Zeichen · 206 Bildschirme
さてはとばかり、お隅はそれを聞いただけでも人のうわさに思い当たった。巡査は格子戸口に立ったまま、言葉をついで、入檻中の半蔵が帰宅を許されるからと言って、身柄を引き取りに来るようとの通知のあったことを告げた。
お隅はすこし息をはずませながら、
「まあ、どういうおとがめの筋かぞんじませんが、青山さんにかぎって悪い事をするような人じゃ決してございません。宅で本所の相生町の方におりました時分に、あの人は江戸の道中奉行のお呼び出しで国から出てまいりまして、しばらく宅に置いてくれと申されたこともございました。そんな縁故で、今度もたよってまいりまして、つい先ごろまでは教部省の考証課という方に宅から通っておりました。まあ、手前どもじゃ、あの人の平素の行ないもよくぞんじておりますが、それは正しい人でございます。」
突然巡査の訪ねて来たことすら気になるというふうで、お隅は二階の客のためにこんな言いわけをした。それを聞くと、巡査はかみさんの言葉をさえぎって、ただ職掌がらこの通知を伝えるために来ただけのことを断わり、多吉なりその代理人なりが認印持参の上で早く本人を引き取れと告げて置いて、立ち去った。