Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.172 Zeichen · 206 Bildschirme
言えなかった。御一新もまだ成就しない今のうちに、国民教化の基準をしっかりと打ち建てて置きたい。それが半蔵らの願いであった。
静かなところで想い起こして見ると、あだかも目に見えない細い糸筋のように、いろいろな思いがそれからそれと引き出される。郷里の方に留守居する継母や妻子のこともしきりに彼の胸に浮かんで来た。彼は今度の事件がどんなふうに村の人たちのうわさに上るだろうかと思い、これがまた彼の飛騨行きにどう響くかということも心にかかった。
三
十一月二十九日に、半蔵は東京裁判所の大白洲へ呼び出された。その時、彼は掛りの役人から口書を読み聞かせられたので、それに相違ない旨を答えると、さらに判事庁において先刻の陳述は筆記書面のとおりに相違ないかと再応の訊問があった。彼が相違ない旨を答えると、それなら調印いたせとの言葉に、即刻調印を差し上げた。追って裁断に及ぶべき旨を言い聞かせられて、彼はその場を退いて来た。
とりあえず半蔵はこのことを多吉夫婦の耳に入れ、郷里の留守宅あてにもありのままを書いて、自分の粗忽から継母にまで心配をかけることはまことに申し訳がないと言い送った。