Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.172 Zeichen · 206 Bildschirme
寄るとさわると、そこへ水くみに集まるもののうわさはお粂のことで持ち切った。あの娘が絶命するまでに至らなかったのは、全く家のものが早く見つけて手当てのよかったためであるが、何しろ重態で、助かる生命であるかどうかはだれも知らない。変事を聞いて夜中に駕籠でかけつけて来た山口村の医者杏庵老人ですら、それは知らないとのこと。この山里に住むものの中には、青山の家の昔を知っていて、先代吉左衛門の祖父に当たる七郎兵衛のことを引き合いに出し、その人は二、三の同僚と共に木曾川へ魚を捕りに行って、隣村山口の八重島、字龍というところで、ついに河の水におぼれたことを言って、今度の悲劇もそれを何かの祟りに結びつけるものもあった。
門外のもののうわさがこんなに娘お粂の身に集まったのも不思議はない。青山の家のものにすら、お粂が企てた自害の謎は解けなかった。ともあれ、この出来事があってからの四、五日というものは、家のものにはそれが四十日にも五十日にも当たった。その間、お粂が生死の境をさまよっていて、飲食するものも喉に下りかねるからであった。
にわかに半蔵も年取った。一晩の心配は彼を十年も老けさした。