Japanische Klassiker mit Furigana
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よながひめとみみお
夜長姫と耳男
Lesen Sie 夜長姫と耳男 (よながひめとみみお) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.604 Zeichen · 56 Bildschirme
のしかかるように見つめ伏せてはダメだ。その人やその物とともに、ひと色の水のようにすきとおらなければならないのだ。
オレは夜長ヒメを見つめた。ヒメはまだ十三だった。身体はノビノビと高かったが、子供の香がたちこめていた。威厳はあったが、怖ろしくはなかった。オレはむしろ張りつめた力がゆるんだような気がしたが、それはオレが負けたせいかも知れない。そして、オレはヒメを見つめていた筈だが、ヒメのうしろに広々とそびえている乗鞍山が後々まで強くしみて残ってしまった。
アナマロはオレを長者にひき合せて、
「これが耳男でございます。若いながらも師の骨法をすべて会得し、さらに独自の工夫も編みだしたほどの師匠まさりで、青ガサやフル釜と技を競ってオクレをとるとは思われぬと師が口をきわめてほめたたえたほどのタクミであります」
意外にも殊勝なことを言った。すると長者はうなずいたが、
「なるほど、大きな耳だ」
オレの耳を一心に見つめた。そして、また云った。
「大耳は下へ垂れがちなものだが、この耳は上へ立ち、頭よりも高くのびている。兎の耳のようだ。しかし、顔相は、馬だな」
オレの頭に血がさかまいた。