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Japanische Klassiker mit Furigana

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ゆめとぶんげい

夢と文芸

柳田 国男

Lesen Sie 夢と文芸 (ゆめとぶんげい) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.051 Zeichen · 14 Bildschirme

Aozora Bunko

彼等は万人の覚めて眼を円くして居る中に囲まれて、独り自在に夢の国を歩むことが出来た。其代りには言うことがあまり適切で無く、又時々は有り来りの語辞をおまけに添えた。うそだから悪いという良心までが共に睡って居た。この夢語りには又報酬があり、自身も捲き込まれるような憂いと悲しみはなかった。だから取越苦労の主婦の夢のような、淋しい薄墨色の陰影は無かったのである。文芸の芽ばえは常に紅色を帯び、又は浅緑の晴々とした色をして居た。昔あったという神に恵まれた若者、又は清麗玉の如き少女の、少しは苦しみつつも末めでたく長者となるという類の、遠い祖先の事などが例に引かれ、我等は其子孫だという喜びを以て、現世の不安を追払わせる物語が多くなった。其空想は繁り又栄えて、末には之を信ぜずともよいばかりか、うそで休息しようという新たなる趣味を、養い立てることにもなったのである。

しかも我々の姉妹の多数は、今以て芝居で泣き小説で泣き、明かに是は作りごとだと知って居ながらも、なお何等かの生活の手本を、其中から得なければ損だと思って居る。夢という至ってまじめなものの代りを、文芸に勤めさせようとして居た因習の痕跡では無いかと思う。