Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆめどのさつじんじけん
夢殿殺人事件
小栗 虫太郎
Lesen Sie 夢殿殺人事件 (ゆめどのさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.755 Zeichen · 55 Bildschirme
然し肱だけの行衣に平ぐけの帯を締めた血みどろの身体は、コチコチに硬直していて、体温は既に去っていた。法水は屍体の大腿部を見詰めていた眼を返して、血に染んだ右掌を拭き、そこに何やら探している様子だったが、やがて、行衣に現われている四つの大血痕の下を調べ始めた。すると、そこから、心臓をギュッと掴まれたような駭きとともに、犯人の異形な呪文が現われ出たのだった。
そこで、四つの創形を云うと、そのうちの二つは左右上膊部の外側、即ち肩口から二寸ほど下方にあって、残り二つは、左右腰骨の突起部、即ち大臀筋の三角部だった。何れも、人体横側の最高凸出部であり、その位置も左右ともに等しく、尚、その上下の一対が、垂直線の両端に位しているのが注目されるが、何よりの駭きと云うのは、明瞭な字紋様の創形と、それに到底人間業とは思われない――恰度精巧な轆轤で、刳り上げたような一致が現われている事であって、またその二つが、左右とも微細な点に至るまで符合しているのだった。それをなお詳細に云うと、上膊部のものは、最初上向きになった鋭い鉤様のものを打ち込んだらしく、創底が三糎程の深さになっていて、それを上方に向けて刳りながら次第に浅くなって行き、全体が六糎程の長さで、底本が「訶」