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Japanische Klassiker mit Furigana

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あやかしのつづみ

夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓

夢野 久作

Lesen Sie 夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓 (あやかしのつづみ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 76.558 Zeichen · 153 Bildschirme

Aozora Bunko

夢中になって馳け出して、貝殻ばかりの岩の上を、傷だらけになって辷りながら、岬の大磐の上に這い上りました。キチガイのように暴れ狂い、哭き喚ぶアヤ子を、両腕にシッカリと抱き抱えて、身体中血だらけになって、やっとの思いで、小舎の処へ帰って来ました。

けれども私たちの小舎は、もうそこにはありませんでした。聖書や枯れ草と一緒に、白い煙となって、青空のはるか向うに消え失せてしまっているのでした。

*

それから後の私たち二人は、肉体も霊魂も、ホントウの幽暗に逐い出されて、夜となく、昼となく哀哭み、切歯しなければならなくなりました。そうしてお互い相抱き、慰さめ、励まし、祈り、悲しみ合うことは愚か、同じ処に寝る事さえも出来ない気もちになってしまったのでした。

それは、おおかた、私が聖書を焼いた罰なのでしょう。

夜になると星の光りや、浪の音や、虫の声や、風の葉ずれや、木の実の落ちる音が、一ツ一ツに聖書の言葉をやきながら、私たち二人を取り巻いて、一歩一歩と近づいて来るように思われるのでした。そうして身動き一つ出来ず、微睡むことも出来ないままに、離れ離れになって悶えている私たち二人の心を、窺視に来るかのように物怖ろしいのでした。