Japanische Klassiker mit Furigana
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あやかしのつづみ
夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓
夢野 久作
Lesen Sie 夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓 (あやかしのつづみ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 76.558 Zeichen · 153 Bildschirme
だの能仮面の『あやかしの面』などと一緒にして捏ち上げた碌でもない伝説なんです。根も葉もないことです」
「そうじゃないように聞いているんですが」
「そうなんです。あの鼓は昔身分のある者のお嫁入りの時に使ったお飾りの道具でね。音が出ないものですから皆怪しんでいろんなことを……」
私はここまで聞くと落ち付いて微笑しながら妻木君の言葉を押し止めた。
「ちょっと……そのお話は知っています。それはこちらの奥さんが或る鼓の職人から欺されていらっしゃるのです。その職人はこの家のおためを思ってそう云ったのです。本当はとてもいい鼓……」
と云いも終らぬうちに妻木君の表情が突然物凄いほどかわったのに驚いた。眉が波打ってピリピリと逆立った。口が力なくダラリと開くとまだモナカの潰し餡のくっ付いている荒れた舌がダラリと見えた。
私は水を浴びたようにゾッとした。これはいけない。この青年はやっぱり気が変なのだ。それも多分あやかしの鼓に関係した事かららしい。飛んでもないことを云い出した……と思いながらその顔を見詰めていた。
けれどもそれはほんの一寸の間のことであった。妻木君の表情は見る見るもとの通りに冷たく白く落ち付くと同時に、ふるえた長い溜め息がその鼻から洩れた。