Japanische Klassiker mit Furigana
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あやかしのつづみ
夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓
夢野 久作
Lesen Sie 夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓 (あやかしのつづみ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 76.558 Zeichen · 153 Bildschirme
ですから疑わぬ先にと思ってこの鼓をお眼にかけたのです。けれども見事に失敗しました。この胴の木目のことまで御存じとすれば君は、君のお父さんから本当に遺言をきいて来られたに違いありません。君はこの鼓を手に入れて打ち壊してしまいたいと思っているのでしょう」
青天の霹靂……私は全身の血が頭にのぼった。……と思う間もなく冷汗がタラタラと腋の下を流れると、手足の力が抜けてガックリとうなだれつつ畳の上に手を支えた。
「今まで隠していたが……」と妻木君は黒い眼鏡を外しながら怪しくかすれた声で云った「僕は七年前に高林家を出た靖二郎……ですよ」
「アッ。若先生……」
「…………」
二人の手はいつの間にかシッカリと握り合っていた。年の割りに老けた若先生の近眼らしい眼から涙がポロリと落ちた。
「会いとう御座いました……」
と私はその膝に泣き伏した。それと一緒に誰一人肉親のものを持たぬ私の淋しさがヒシヒシと身に迫って来て、いうにいわれぬ悲しさがあとからあとからこみ上げて来た。
若先生も私の背中に両手を置きながら暫く泣いておられるようであったが、やがて切れ切れに云われた。
「よく来た……と云いたいが……僕は……君が……高林家に引き取られたときいた時から……心配していた。