Japanische Klassiker mit Furigana
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おおいがわおくやまのはなし
大井川奥山の話
木暮 理太郎
Lesen Sie 大井川奥山の話 (おおいがわおくやまのはなし) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.724 Zeichen · 20 Bildschirme
と呼ぶと、つい十五、六間先の木の上で案内者が「オー」と答えたので、おかしい位に拍子抜けがしてしまった。
偃松の間を抜けてガラガラに石を敷き詰めたような広い高原ともいう可き峰頭に出る、後から「旦那、鷲だ鷲だ」と人夫が叫ぶ。振り仰ぐと七、八尺もあろうと思われる大鷲の影が霧の中に黒くにじみ出して、頭上三、四尺の高さまでおろして来たかと思うと、急に翼を反して凄まじい羽音と共に復た霧の中に消えてしまう。「鷲の畜生、何と思ったずら」と人夫が罵る。昨日イザルケ岳に登る途中、眺望の開けた大岩の上に腰かけて昼食をしたためていると、天空遥に一点の黒影が現れて、矢のようにおとして来るのを案内者に注意されて見ていると、近くなって夫が大鷲であることを知った。私達を兎か小鹿とでも思ったのであろう。今日のは夫にもまして大きなものであった。
高原が尽きて、岩の多い窪地に風を避けながら一休みする。小さい山桜が咲いている、案内者はゴート桜だと教えて呉れた。稍深い偃松を掻き分けて草地に出ると、十五、六頭の鹿の群が飛び出して、上河内の谷に向って草の斜面を一散に駆け下りて行った。また偃松の間に潜り込む。