Japanische Klassiker mit Furigana
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おとなのめとこどものめ
大人の眼と子供の眼
水上 滝太郎
Lesen Sie 大人の眼と子供の眼 (おとなのめとこどものめ) von 水上 滝太郎 (みなかみたきたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.719 Zeichen · 10 Bildschirme
ものであった。
上に引合に出した叔父についても、英雄崇拝の思い出がある。叔父は慶応義塾を出て、郵船会社に勤めていた。海上勤務の頃は、事務長をしていたのか、あるいはその下役の事務員かは知らないが、欧洲航路の船に乗って、しばしば珍しいおみやげを持って来てくれた。六尺近い大男で、日本人には類のない白皙の面にやや赤味を帯びた口髭をはやしていた。それが金筋の入った正服を着て、当時はまだ珍しかったバナナだの、パイン・アップルだのの籠をさげて帰って来る姿は、自分の異国趣味を十分満足させた。文明開化という言葉が流行し、何の品でも質のいい物は上等舶来と唱えた時代だから、西洋といえば何よりも美しい国におもわれた。自分は叔父にせびっては、ヨーロッパの港々の話をきかしてもらった。
しかし叔父を崇拝するのは、単にそのためばかりではなかった。それよりも叔父の投げる小石が子供の眼にははっきりと距離のはかれないほど遠くまで飛んで行くことに敬服していたのだ。
叔父の家は木挽町にあった。二階一室に階下が三室位の小さな家で、自分から見れば祖母にあたる母親と、自分から見ればやはり叔父で、まだ高等小学校に通う位の年配だったから、豆叔父さんと呼んでいた叔父の弟と、台所を働く婆やとで暮らしていた。